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アレルギーの病気についてQ&A

気管支喘息(小児)

Q1 乳幼児にどのような症状があるときに喘息を疑って、医療機関に相談したほうがいいですか。

A

乳幼児も、学童と同様に喘鳴(呼吸する時にゼイゼイと聞こえる音)と、せき込んだり、眠れなかったりなどの呼吸困難を繰り返す場合に喘息を疑います。原因は、遺伝やアレルギー体質、そしてRSウイルスによる重症な細気管支炎の既往などがあります。風邪をひいて医療機関を受診した際にゼイゼイしているねと何度か指摘されたり、風邪をひくといつもゼイゼイして苦しそうな咳をする場合は、喘息を疑ってみましょう。乳児喘息にも、年に数回の風邪をひいたときだけゼイゼイし、それ以外は全く元気な子供もいれば、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を合併し、冷気やたばこの煙などの少しの刺激でもゼイゼイしてしまう子供もいるなど、いくつかのタイプがあります。タイプの判定は簡単ではありませんので、専門医に相談しましょう。

Q2 喘息発作が出た時に家庭でできることや受診のタイミングを教えてください。

A

喘息発作の程度には、ゼイゼイしても普通の生活ができる小発作と苦しくて運動や睡眠などが困難になる中・大発作があります。小発作であれば、安静にして、水分補給をしながら、医師から指導されている吸入や内服で治療をしてみてください。中・大発作の場合と小発作でも家庭の治療でよくならない場合は医療機関の受診が必要です。特に、爪や唇の色が白っぽくてよくない、息を吸うときに胸がぺこぺこへこむ、苦しくて話したり歩いたりができない、ボーッとしたり、ひどく興奮するなどの症状は危険なサインです。自宅でできる治療をしながら、すぐに医療機関を受診しましょう。

Q3 吸入ステロイドなどの喘息のお薬は長期に使用しても安全ですか。

A

喘息のお子さんの気管支には、好酸球という白血球を中心とした慢性の気道炎症がおこっていて、それは喘息発作がないときでも、治っていません。喘息発作のない日常生活を送るためには、この慢性気道炎症を治療すること(これを長期管理といいます)が、最も重要です。長期管理薬は、吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を中心に使用します。お子さんの喘息の症状の重さと、頻度で病型を診断して、それに合わせて治療します(小児気管支喘息治療・管理ガイドライン)。

吸入ステロイド薬は、ステロイドホルモンですが、吸入で使用するので、全身への影響は少なく、安全性は確立しています。しかし、一部の論文で、長期の吸入ステロイド薬使用で、身長の増加がわずかに停滞することも報告されています。必要最小限の吸入ステロイド薬で治療するには、環境整備や正しい手技で上手に吸入することも大切です。環境整備の方法や吸入手技の確認は、専門医と相談してください。

表1:気管支喘息の薬の種類
長期管理薬
吸入薬 ステロイド
(フルタイド、パルミコート、キュバール)
クロムグリク酸ナトリウム
(インタール)
内服薬 ロイコトリエン受容体拮抗薬
(オノン、シングレア、キプレス)
テオフィリン薬
(テオドール、テオロング)*
経口ステロイド薬
(プレドニン)
貼付薬 ツロブテロール薬
(ホクナリンテープ)

*気管支拡張作用あり
( ) 主な商品名

Q4 喘息は治りますか。

A

小児期に喘息になった人の6~7割は思春期までに治ると考えられてきました。しかし、一時的によくなっても、また成人になってから喘息になる人がいます。成人の喘息をみると50%の人が子どもの時から喘息があります。海外のデータでは、子どもの時にひどい喘息発作を繰り返した人は成人になった時に、呼吸機能の低下がみられると報告されています。自然に治るものではなく、正しい治療(気道の炎症を抑える)を行って喘息を治すことが最も大切です。

Q5 喘息の子供にとって良い環境とは、どんな環境ですか。

A

タバコの煙は喘息をおこしやすくするし、発作もひきおこします。換気扇の下で吸っていても、お子さんに影響します。家族は禁煙するのが一番ですが、もし、どうしても無理な場合は室外で吸うようにしましょう。また、お子さんが大きくなってきたときには、喫煙は喘息に悪いということを説明して、成人になっても吸わないように早めに指導しましょう。

喘息の原因として、ダニによるアレルギーがあるお子さんが多くいます。室内のダニ量が増えると喘息発作がおこる場合があります。掃除機によりホコリを吸い取るのが効果的です。ジュータン、布製ソファー、古い布団や座布団にはダニが多くいので、なるべくこれらを使用しないほうがいいでしょう。カーテンやぬいぐるみなども、洗濯機で洗いましょう。

水槽で飼育できるペットは問題ありません。アレルギー症状をおこしやすいネコ、イヌ、ウサギ、ハムスターなどには注意が必要です。外国の論文で出生時早期からイヌやネコを飼育しているとその後のアレルギー発症が少なかったと報告されていますが、わが国では証明されていません。動物の毛そのものもアレルギーの原因となるし、毛にはダニがつきやすいので注意は必要です。どうしても飼育する場合は室外で飼育し、シャンプーすることがすすめられます。また、実際にペットと接触してアレルギー症状がでてしまった場合には飼育を中止する覚悟が必要です。

家庭環境以外に、運動や冷気は喘息発作をおこす誘因となります。特に冷たく乾いた空気を吸う冬季のマラソン、スキーやスケートでおこりやすいです。予防するには、鼻で呼吸、マスク着用、少しずつ運動することが有用です。運動前に喘息治療薬を使用した方がいい場合もあります。運動した時に発作がでる(運動誘発喘息)場合には普段の長期管理薬が十分でない場合があるので、担当医に相談しましょう。

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