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アレルギーの病気とは

アレルギー性結膜疾患

結膜は、「しろめ」とよばれ、眼球の表面から瞼の裏を覆う粘膜です。アレルギー性疾患は、花粉やダニなどが原因となり結膜にアレルギー反応によって炎症をおこす病気の総称です。症状が出る時期や粘膜の炎症の種類や程度により、アレルギー性結膜炎、春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎に分類されます。アレルギー性結膜炎の主な症状は、眼の痒みですが、そのほか、白目が赤くなる、涙がでる、目がごろごろする、目やにがでる、といった症状も伴います。スギ花粉症もスギ花粉によるアレルギー性結膜炎で、スギ花粉の飛ぶ時期に症状がでます。アレルギー反応を抑える抗アレルギー点眼薬は、目の痒みなどの症状を改善します。

春季カタルはアトピー体質の学童、特に男児に好発する重症のタイプです。瞼の裏の結膜が炎症のためにでこぼこになり、角膜(くろめ)にも潰瘍ができるので、目がとても痛くなったり、視力が落ちたりすることがあります。最近では、免疫抑制薬の点眼で、早めに症状を改善できるようになってきました。アレルギー性結膜疾患は、正しい診断と治療で症状が改善します。早めに専門医を受診されることをお勧めします。

Q&A

1.花粉症の点眼はいつから始めればよいのでしょうか?

毎年花粉の飛散時期に、つらい目の症状に悩む方には、抗アレルギー点眼薬の初期療法をお勧めしています。初期療法とは、スギ花粉がまだ飛び始めで、症状がほとんど「ない」か、あってもごく軽い時期から治療を開始する方法です。点眼を始めるのは、花粉飛散開始予測日の約2週間前ごろですが、特に、花粉の飛散量がそれほど多くない年でも症状がでた方の場合には、11月頃の来院を勧め、目の痒みなど、結膜炎の症状がでればすぐに点眼を開始できるように点眼薬を処方します。スギ花粉は気温などの条件により11月頃に飛散することがあり、この時期のそれほど多くない花粉量でも出現する症状を抑えたいからです。また、翌年の花粉飛散量が多いことが予想されている年にも早めの受診を勧めています。初期療法を行うことで、花粉飛散時期の症状を軽くし、症状がでる期間の短縮が期待できます。抗アレルギー点眼薬は内服薬と異なり、眠気などの全身への副作用がほとんどないため、点眼薬による初期療法は、患者さんにとっても負担が少なく取り入れやすい方法だと思います。

2.市販の点眼薬は使ってもよいですか?

市販の点眼薬は処方薬とは、薬剤成分、防腐剤、添加物などが大きく異なるためお勧めできません。特にアレルギーのある方は要注意です。処方薬は効き目や副作用については、たくさんの研究により有効で安全であることが確認されています。市販薬では、処方薬のような有効成分はほとんど含まれておらず、処方薬とは異なる、充血やかゆみをおさえる成分がほんの少し入っている程度です。その反面、添加物、防腐剤の濃度が高く、つけ続けると、かぶれたり、目の表面がガサガサになったりします。スーッとするつけ心地はくせになるようですが、かゆみや充血などの症状が続けば、ぜひ眼科で診察をうけ、症状にあった点眼薬を処方していただきましょう。

3.コンタクトレンズの上から点眼しても良いでしょうか?

眼掻痒感が強く、充血、眼脂などのアレルギー性結膜炎の症状が明らかな時期にはコンタクトレンズの装用を中止し、アレルギー性結膜炎の治療を優先することが原則です。この時期にコンタクトレンズを装用するとレンズにめやになどの汚れが付着し結膜炎の症状を悪化させることになります。症状が改善すれば、コンタクトレンズ装用はできますが、その場合はまず、1日使い捨てレンズを選択して下さい。コンタクトレンズ装用前後で抗アレルギー点眼薬を点眼し、コンタクトレンズ装用時には、防腐剤無添加人工涙液をレンズ上から点眼し洗眼することをお勧めします。コンタクトレンズの上からの抗アレルギー点眼薬の使用をお勧めしない理由として、レンズの素材によっては、点眼薬に含有される防腐剤や点眼薬のpHなどに影響をうけることがあるからです。

4.ステロイドの点眼薬の副作用について教えてください。

アレルギー性結膜疾患の治療には、ステロイド点眼薬を使うことがあります。ステロイドは、炎症をおさえるたまには、とても有効な薬剤ですが、時に副作用を伴います。ステロイド点眼薬の副作用には、眼圧が高くなることと、眼の感染症の悪化が挙げられます。眼圧が高くなり視野が狭くなり、放置すればいずれは失明にいたる疾患が緑内障ですが、ステロイド点眼薬による眼圧上昇は早期に発見し、ステロイド点眼の中止や点眼回数を減らすことで、眼圧が下がり、緑内障に至ることは回避できます。しかし、この場合の眼圧上昇は痛かったり重かったりといった自覚症状を伴わないため、自分で気づくことはなく、眼圧測定検査が唯一の発見の方法です。ステロイド点眼薬使用中は、ぜひ、眼科で定期的な眼圧のチェックを受けてください。

5.春季カタルといわれました、プールに入れますか?

春季カタルは学童期に発症し、悪化する頻度が高い疾患です。そのため、プールや遠足など学童期でなければ体験できない学校行事への参加については頭を悩ましている親御さんも多いのではないでしょうか。春季カタルの症状が悪化している時には難しいこともありますが、症状が落ち着いている時期には、プールに入ることも可能です。目安としては、角膜障害(黒目の傷)が少なく、痛みもなく普通に目が開けていられる状態であればプールに入れると思います。ただし、その場合、プールに消毒薬としてはいっている塩素(カルキ)から粘膜を保護するためには、ゴーグルをつけることをお勧めしています。プールからあがったら水道水で洗顔し、その後、人工涙液で洗眼をしましょう。水道水にも低濃度塩素は含有されているため、プールサイドに設置されている噴水式の洗眼用器具は積極的な洗眼としては好ましくありません。

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