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アレルギーの病気とは(トピックス)

舌下免疫療法

減感作療法とは、アレルギーの原因物質を含んだ医療用の注射液をアレルギー反応が生じないかを見ながら、安全な低濃度から徐々に量を増やして注射し、体質改善する方法です。従来の注射による方法は、週1回の注射を4~6ヶ月程度続け、最大投与濃度まで上げて行き、最大濃度に達したら、1ヶ月に1回の投与を行い、これを3年以上継続する方法でした。この方法ですと、治療途中にアナフィラキシ―(ショック)を生じる危険性があり、注射による痛みともに、通院による患者の負担が大きいというデメリットがあります。

舌下免疫療法の方法と利点

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、既存の抗ヒスタミン薬のように、くしゃみ・鼻水・鼻つまりなどの花粉症症状自体を抑えるものではなく、あらかじめ、花粉飛散前に治療を開始し、症状を出にくくするものです。従って、治療の開始は花粉症の症状が出てからでなく、数ヶ月以上前から行う予防的なものとなります。

投与方法は、スギ花粉を含むエキス液(シダトレン®)を舌下に滴下し、約2分 間保持した後に飲み込みます。最初の2週間で投与量を増やしていき、3週目からは同量の薬を毎日舌下投与します。グリセリンがはいっているので、やや甘く、少し酸味もあります。1回目の舌下投与は医療機関で行いますが、通常それ以降は毎日自宅で行なえます。これを、3~5年間続けることになります。

スギ花粉の本格飛散が始まる3ヶ月以上前から治療を開始すると効果的なので、6月から11月に治療を開始するのが望ましいです。舌下免疫療法では、初年度より2年目、2年目より3年目以降で効果が高くなるので、3~5年間続けることが望ましいと考えられています。完全に治る(根治)率は10~20%程度で、とても改善が20~30%、改善が20~30%となり、70~80%の患者さんで有効となります。従来の注射法より、治療成績がより勝るという報告はありませんが、同等に効いたという報告があります。しかし、今までの注射の方法と比較し、重い副反応が少なく安全と考えられています。投与できる患者さんは12歳からですが、スギ花粉症であること(特異的スギIgE抗体クラス3以上)が必須です。重症の気管支喘息、65歳以上の高齢者、妊娠中、授乳中、12歳未満の小児、悪性腫瘍治療中の喘息さんは行うことが出来ません。

毎年、花粉症に時期に症状がひどく、たくさんの薬を服用しなければならなく、それでも完全に良くなっていない方、受験や就職などの大切な時期に、いつもスギ花粉症で悩まされて困っている方、数年以内に妊娠予定は無いが、将来妊娠した時に、アレルギーの薬が使えないことが不安な方、今後の長い人生でこれからもずっと毎年スギ花粉症で悩まされることが憂鬱・不安な方などは、この方法が適していると考えられます。専門医によく相談すると良いでしょう。

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