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アレルギーの病気についてQ&A

薬物アレルギー

Q1 薬物アレルギーの症状にはどのようなものがありますか?

A

薬物アレルギーでは様々な症状が現れますが、最もよくみられるのが皮膚症状です。皮膚症状は8割以上の患者さんに現れ、「薬疹」とよばれます。 薬疹は、蕁麻疹や湿疹、ニキビのような赤い斑点ができる軽症のものから、薬を飲むたびに同じ場所が赤くなり、治るとシミになることを繰り返す固定薬疹、水疱やびらん(ただれ)が体中に広がる重症薬疹まで多彩です。他にも呼吸器障害(喘息発作や間質性肺炎、好酸球性肺炎)が現れたり、検査によって肝障害、腎障害、血液障害(貧血、好酸球増多、白血球数異常、血小板減少)が見つかることもあります。
薬物アレルギーのなかでも生命を脅かす重篤なのが、アナフィラキシーと重症薬疹です。アナフィラキシーは、全身に起こる即時型アレルギー反応で、薬剤が投与されてすぐに、体のかゆみや赤み、蕁麻疹、鼻水、喘息発作、腹痛、下痢、嘔吐などが分単位で現れ、血圧が下がり、呼吸困難に陥り意識を失うこともあります。重症薬疹については他項をご参照ください。

Q2 どのような時に薬物アレルギーを疑いますか?

A

通常の投与量にも関わらず、薬剤投与後に異常な症状が現れたときに、薬物アレルギーを疑います。皮膚症状は出現頻度が高く、内臓の異常に比べ気づきやすいため、薬物アレルギーを疑う良いきっかけになります。ただし、薬は大抵、感冒など具合が悪いときに投与されるので、その異常症状が病気のせいなのか、薬剤のせいなのか迷います。そこで、薬物アレルギーか否かを判断するために参考になるのが、薬剤投与開始から異常症状が出るまでの期間です。薬物アレルギーが発症するまでには、薬剤が体内に入り、薬剤に反応する抗体や細胞が体内でつくられるための準備期間(医学的には「感作期間」という)が必要です。したがって、初めて使用した薬剤では、投与開始から発症までに5日~2週間(ときに1ヶ月以上)経過していることが一般的です。一方、以前にも使用したことのある薬剤ならば、投与後1日~2日以内に発症してもおかしくありません。

Q3 薬物アレルギーを起こしやすい薬はありますか?

A

抗菌薬や消炎鎮痛薬、感冒薬、抗痙攣薬、痛風治療薬は、薬物アレルギーを起こしやすく、また重症型になる恐れもあるため注意が必要です。抗菌薬では、ペニシリンやセフェム系などの抗菌薬が即時型、遅延型のアレルギー反応ともに多く起こしやすいのですが、テトラサイクリン系の抗菌薬やサルファ剤、抗結核薬などもアレルギーを引き起こします。それらに次いで、高血圧や糖尿病の治療薬や、画像検査に用いられる造影剤、局所麻酔薬、抗腫瘍薬、関節リウマチ治療薬によるものも少なくありません。
また、薬剤には食物成分が含まれることがあり、卵や牛乳アレルギーがある人は注意が必要です。消炎鎮痛薬には卵由来の塩化リゾチームが、下痢止めには牛乳由来のタンニン酸アルブミンが含まれている場合があります。

Q4 重症薬疹とは?

A

重症薬疹とは、生命に関わる重篤な薬疹をさし、その代表としてスティーブンス-ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)があります。 いずれも高熱や肝障害などの多臓器障害を伴うことが多く、SJSやTENでは、眼や口唇・口腔粘膜の炎症と皮膚の紅斑、水疱が特徴的です。SJSは、粘膜症状、特に眼瞼結膜の充血、めやに、唇や口腔粘膜のただれ、出血が目立ちます。TENは、SJSより皮膚症状が著しく、体の広い範囲に紅斑や水疱がみられ、皮膚の表面(表皮)が壊死をおこしているために、赤くなった皮膚を擦るだけで剥けてしまいます。SJSやTENでは後遺症として失明などの視力障害などの眼の障害や呼吸器障害がみられることがあります。重症薬疹では、軽症の場合と異なり、原因薬物を中止しても悪化してしまう傾向があり、緊急入院が必要です。(実際の症例については、厚生労働省 重篤副作用疾患対応マニュアルhttp://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1.html 参照)

Q5 薬物アレルギ-を診断するためには、どんな検査がありますか?

A

原因薬物を特定する検査として、血液検査、皮膚テスト、再投与試験があります。このなかで、最も確実な診断方法は再投与試験ですが、再投与により症状が再びあらわれ、重い症状が誘発される恐れがありますので、その必要性と安全性を十分考慮して行います。そのため、再投与試験の前に、より安全な検査を行うことが一般的です。例えば、アナフィラキシーを発症した患者さんでは、即時型アレルギーをみる皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト)を、遅延型アレルギーではパッチテストといったように、症状に合わせて検査を選びます。また、遅延型アレルギーの血液検査に、リンパ球刺激試験(DLST)がありますが、検査の信頼性は低く、それだけで診断できないことがあります。再投与試験以外の検査は、薬剤によって陽性率が異なり、陰性であっても原因薬剤を否定できない点に注意が必要です。したがって、専門医のもとで、総合的に判断されることが重要です。

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